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12月中旬に開催されたフライフィッシングフェスタの会場で立ち寄った釣り専門旅行代理店ブ
ース。それが間違いの始まりで・・・年末年始休みを利用して、行って来ちゃいました、ニュージ ーランド南島。 ![]()
12月27日?28日
国際線は4時間遅れの22時過ぎに成田を発ち、クライストチャーチでの乗り継ぎも当然遅れ
て、28日夕方にクイーンズタウン着。夜、ロッジでガイドのスチュアートと打合せ。ロッドのアク ションを確かめられたり、ラインの色をチェックされたり・・・。ニュージーランドの魚はとっても臆 病なので、派手な色のラインはダメなんです。バンブーカラーですら拒否されちゃいまして、新 調したグレーのラインはなんとか許してもらいました。 ![]() ![]() ![]()
12月29日
クイーンズタウンから1時間ほど南下したラムズデンのモーテルにスチュ(スチュアートの愛称)
の車で移動。そこにトランクを降ろして、いよいよスチュのとっておきの川へ。ジンクリアって正 にこのことを言うのね、というぐらいに完全に透明な水。「風がちょっと強いね」って言ったら、ス チュの答えは「ニュージーランド基準ではNO WINDだよ」って。右岸に張りだした木の手前にス チュが魚を発見。そうなんです、ここでの釣りは完全にサイトフィッシング。たとえ魚が沈んでい ても、まずは魚を見つけてからじゃないと何事も始まりません。えっと、そのブラウンは水深1.5 メートルぐらいの所にいたので、フェザントテールニンフとガイドオリジナルのPOGOニンフをダ ブルで結びます。リーダー・ティペットはなんと 18フィート。かなりのロングリーダーシステムで す。ほとんどアップストリームで15ヤードぐらい離れた所からのキャストを指示されます。これ以 上近寄ると魚に見られちゃうんですって。で・・・セカンドキャストでインジケーターが引き込ま れ・・・いつものように左手でラインをコントロールしようとした途端、アッという間にブレイク。「こ の川のブラウンは大きいから、リールでやりとりしなきゃダメ」とお叱りが・・・。同じプールにい たもう1匹もフッキングしたけど、やりとりの途中で痛恨のばらし。はあ?っ。
次のポイントに移動し、フライをドライに変えてのファーストキャストでフッキング。ファーストラン
でバッキングまで出されながらも、なんとかニュージーランドでの1匹目がランディングできまし た。21インチ、3ポンドのブラウンです。アメリカでも20インチオーバーは大変なのに、最初から このサイズです。びっくりしちゃいます。更に上流。流れひとつないバックウォーターの水面ぎり ぎりをダムゼルが飛んでいます。そして、悠々とクルージングしている魚を3匹発見。フライを 取っかえひっかえして、右岸から30キャストぐらいしても反応無し。そこで、ぐぐーーーっと遠巻 きして左岸に渡り、フライもダムゼルドライと大きめなダムゼルニンフに替えて、ブッシュギリギ リにキャストしてナチュラルドリフトすると・・・一番大きな1匹が悠然と近寄ってきて、透明な水 の中で白い口をゆっくり開けて・・・ニンフを銜えてくれました。スチュが「絶対にラインに触るな っ!リールでやりとりしろっ!ロッドを左に倒せっ!後ろに下がるんだっ!」などなど、ひっきり なしに叫びます。その声にこっちも必要以上に緊張しながら、でもなんとかランディングできた のは、25インチオーバー、7ポンド弱の大物でした。ネットに入った途端、緊張が一気にとけ て、その場にへたりこんじゃいました。
その後、風がどんどん強くなり、日本流のキャストじゃどうにもならなくなって、ニュージーランド
流強風対策キャスティングのレッスン開始。利き腕側から風が吹こうが、正面から槍が降ろう が、フライを一直線に正確にターンさせるキャストっちゅうのをみっちり教わります。とはいえ、 このキャスティング、チビで握力貧困、軟弱者の私にはかなりきっついモノなんです。親指がも ぎれそうです。その後、クルマで川を横切ったりして場所移動もしましたが、午後はNO FISH。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
12月30日
7時半の約束よりかなり早くスチュがモーテルに迎えに来ました。「今日は完璧な日だ。昨日の
キャスティングレッスンも合格点だから、ゆかりを特別な場所に連れて行ってあげる」と言わ れ、着いた場所は天国のような渓相。雲ひとつない快晴、風もありません。でも、スチュの態度 が昨日と違います。魚らしき気配を感じた途端に匍匐前進。私を残して、そーーーーーーっと 魚にストーキングし、ジェスチャーでフライをプレゼンテーションすべき場所を指示します。彼の 背中に漂う異常な緊張感を見ただけで、こっちまで震えがきちゃうほどなのに、「最初のキャス トで失敗したら、魚をフッキングできる確率は5割以下になる」と追い打ちのプレッシャー。ファ ーストキャストは指示された場所より30センチほど左に寄っちゃいました。実はそのドリフトで 魚がフライを銜えたらしいのですが、スチュの「Lift!」の声が聞こえず、フッキング動作が遅れて しまい、一巻の終わり。スチュは「ストライク!」でも「セット!」でもなく「リフト!」と言うのです。 それに慣れていないのと、彼との距離が遠いので聞きそびれちゃいました。これからは注意す るぞっ。
9時過ぎ、左岸に大岩がふたつあるポイントに到着。「合計5匹見える」というのですが、私には
4匹しか見えません。フライを替えたり、棚を変えたり、立ち位置を変えたりして1時間ぐらい粘 りました。そして流芯の手前の魚に見切りをつけて、大岩の奥の右側にいる魚を狙ってキャス ト・・・出たーーーーーっ、フッキングしたーーーーーっ、岩に潜るーーーーーっ、重いーーーー ーっ、やだーーーーーっ、どうにかしてーーーーーっ・・・魚を追いかけて下流に走り、魚が戻っ てくれば大慌てでリールを巻きながら後ずさりし・・・15分以上かけて取り込んだのは、なななん と、33インチ(84センチ)、9ポンドのブラウンです。ボブサップみたいです。力持ちです。でか いです。重いです。おばさん、疲れました。ふうっ。
手が震えて、魚を持ち上げられません。笑顔もうまくつくれません。でも、スチュ曰く、彼が知っ
ている中では、この川で釣れた最大の魚だということで、やたらめったら写真を撮りまくってくれ ました。
この日のすべてのエネルギーを使い切っちゃったので、この後はドライに出たのも含めて2匹
フッキングしたけど、いずれもランディングできませんでした。だって、もうロッドを支えるだけの 腕力がなかったんだもん。くすん。
風も強まり、キャスティングも散々になってきて、何度もトラブルを起こし、その度にスチュに叱
られたのは言うまでもありません。
実はこの日、お昼ご飯も食べずに午後5時までぶっ続け。モーテル近くの食堂で食料にありつ
いたのは6時半過ぎでした。スチュの熱意に脱帽です。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
12月31日
朝から強風。そして何故か、右からの風またはアゲインストの風なんです、どこに行っても。風
が吹くと魚を見つけるのが極端にむずかしくなり、どうしてもブラインドでキャストせざるを得な い場合が出てきます。そうなると暴風対策仕様キャスティングの回数が多くなり、ついに持病の 「バネ指」が出ちゃいました。親指が曲がったっきり元に戻らないんです。スチュ先生のお許し を得て、少し休憩させてもらいました。その間にスチュが魚を見つけてきてくれて、釣り再開。 流れと流れがぶつかり合った間の弛みにいる魚を狙います。そしてフッキング。ランディングま では比較的スムーズだったのですが、ネットに入ってから、なんど2度も大きくジャンプして逃げ 出そうとしたんですよ、この子ったら。あ、そうなんです。ニュージーランドのブラウンはジャンプ するんです。ファイトの最中もジャンプします。そして上手にフックを外したり、ラインブレイクし たりするんです。まるでレインボーのようです。えっと、この子は3ポンドの元気な男の子でし た。 ![]() ![]()
次に狙ったのは、バックウォーターをクルージングしながら1回だけライズした魚です。岸ギリギ
リまでクルージングしてくるので、水際に近寄れません。10メートルほど離れたブッシュの背後 に跪いて隠れ、そこからキャスト。リーダーとティペットだけを水面にそっと落として待ちます。す ると・・・ジョーズみたいにズンズンズンズンと魚が近寄ってきて、スローモーションで白い口を開 けて、POGOフローティングニンフをぱっくり。2.5ポンドの男の子でした。そのすぐ上流。水面下 2メートルぐらいで何かを補食している魚が見えます。透明度が高いのでインジケーターを付け るのは具合悪いと判断し(あ、私の判断じゃありませんよ、スチュの判断です)、ダムゼルドライ にフェザントテールニンフをつけてキャスト。3キャスト目、その魚が水中で何かを補食。その美 しい姿に見とれていたら、スチュが「寝てる場合じゃないよ、Lift!」と叫んでいます。あらら、私 のニンフを銜えたの?でもラッキーなことに、思いっきり遅合わせだというのにフッキングでき てランディング。3ポンドの太った女子高生のような子でした。
この日はクルマの盗難防止装置が働いてピーピー鳴りっぱなしになっちゃったぐらいの強風の
中、なんと午後10時半過ぎまで釣りにつきあってくれたスチュ。本当に頭が下がりっぱなしで す。ありがとう、スチュ。 ![]() ![]() ![]() ![]()
1月1日
2004年のお正月です。スチュが「Happy New Year!」と言いながら登場しましたが、モーテルも
傾くぐらいの暴風。日本で言えば大型で強い台風並みです。まったく「Unhappy New Year!」で す。ずーっと南に行けば風は弱いかも、という希望的予測の元に、いつもの川を諦めてマタウ ラリバーを目指します。この川は大型こそ少ないが数が出る、そしてブラインドでも釣りになる のでグループツアーが成立するとのことです。スチュの言を借りると「偏差値の低い川」なのだ そうです。でも、日本では有名よね。途中、ゴアの町に近い橋の上から無数のライズを確認し たんだけど、そこはプレッシャーが強すぎて出ないよとのことで更に南下。もうすぐ南端の海に 出ちゃうよってなぐらいまでクルマを走らせて、ようやく川に立ちました。でも、暴風なんだよね。 下流域だから水も多少濁っているんだよね。なんだか魚の気配を感じないんだよね。きっと疲 れていたのでしょう。やる気がまったく漲りません。ってなことで、漠然とキャストしたり、居眠り したりして、今日はNO FISH。マタウラでNO FISHって、他人には内緒にしたいぐらいです。で も、羊牧場の中をクルマで突っ走ったり、久しぶりに川辺でのんびり昼食を食べたりと、緩やか な時間が過ごせました。明日は最終日。なんとか風が弱まって欲しいものです。そして、あのと っておきの場所にもう一度立ちたい・・・。 ![]() ![]() ![]()
1月2日
昨日よりはましだけど、相変わらずの暴風です。空は雲に覆われているし・・・。でもスチュは私
のリクエストに応えて、例の場所に連れて行ってくれました。
そして、30日に9ポンドを釣ったのと同じ場所でライズを発見。流れの中程に立ち込んでキャ
スト。CDCカディスの2投目でフッキングし、スチュに半ば持ち上げられるようにして川岸に戻 り、我ながら比較的落ち着いてファイトして・・・えへへ、釣れちゃいました、ドライで。7ポンド、 25インチオーバー(65センチ)の男の子です。
あ、そう言えば、先日の9ポンド君はたぶん8歳で、それって人間で言えばかなりの老齢で、お
そらくこのエリアのボスなんだそうです。
そう考えると、今日の7ポンド君はサブリーダー君なのでしょうか。
それにしても、恐るべしニュージーランド!です。アメリカで6年連続頑張っても25インチなんて
釣れなかったのに・・・。そして、ここニュージーランドでは、レインボーよりブラウンの方が頭が 良いんだそうです。「レインボーは無邪気だから」ってスチュは言います。それはそれで可愛い と私は思うんだけどね。そして何故か今回の釣行で魚が釣れた(ランディングできた)のは、す べて午前中の出来事でした。きっと、午後からは一層風が強くなるせいなのでしょう。暴風対策 キャストの練習がもっと必要ってことだと思います。 ![]()
ええと、長くなっちゃったので、遠征報告もこの辺で終わりにしましょう。
この釣行記を読んで「ボクも(私も)その川に行きたいっ」という方は、http://www.borntofish.co.
nz/index.htmにアクセスしてください。スチュは本当にいいガイド、いいヤツです。英語に自信 がなくても大丈夫。彼はボディランゲージの天才でもあるようです。でも、あまりに熱心なので、 観光半分に釣りしたいなという方にはお勧めしていいものかどうか・・・。
あ、私はもちろんまた行っちゃいます。
もうニュージーランドのトロフィーブラウンに首ったけですもん。 Yukari
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